日時: | 2024年6月19日(水) 13:50 - 20:00 |
---|---|
場所: | 阪大豊中キャンパス 理学部H701号室地図 |
13:50 - 14:00 | はじめに |
---|---|
14:00 - 14:45 | 講演1・浅川正之(大阪大学)「胡蝶の夢と明晰さ」 |
15:00 - 15:30 | 講演2・江角晋一(筑波大学)「ビームエネルギー走査実験から相転移・臨界点の探索へ」 |
15:45 - 16:15 | 講演3・郡司卓(東京大学)「高エネルギー重イオン衝突におけるクォーコニウム測定の現状」 |
15:45 - 16:15 | 講演4・小沢恭一郎(KEK)「有限温度・有限密度下における低質量レプトン対測定のこれまでとこれから」 |
17:15 - 17:30 | ビデオメッセージ |
18:00 - 20:00 | 懇親会 |
講師: | 浅川正之 氏 (大阪大学) |
---|---|
題目: | 胡蝶の夢と明晰さ |
資料: |
講師: | 江角晋一 氏 (筑波大学) |
---|---|
題目: | ビームエネルギー走査実験から相転移・臨界点の探索へ |
概要: | 高エネルギー重イオン衝突により、宇宙初期や中性子星内部のような高温・高密度状態とされる、クォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)相の生成が明らかになりつつある。そのQCD相構造は、高温領域から高密度領域へ、クロスオーバー相転移から1次相転移に変遷するとされ、大阪大学の浅川さん等が予言してこられたQCD臨界点の存在や実験的な確認が期待される。BNLのRHIC加速器をはじめとして、新たな計画を含め世界中の様々な実験施設では、色々な重心エネルギー領域において、QCD相図上のどこに臨界点があるのかを探索する研究が進められている。STAR実験によるビームエネルギー走査実験の結果を中心として、これまでの実験的研究によりわかってきた事、今後の研究計画に関して議論する。 |
資料: |
講師: | 郡司卓 氏 (東京大学) |
---|---|
題目: | 高エネルギー重イオン衝突におけるクォーコニウム測定の現状 |
概要: | チャームと反チャーム、ボトムと反ボトムクォークからなるクォーコニウムはQGPの証拠を与える良いプローブと考えられてきた。QGP中では、チャーム・反チャーム対やボトム・反ボトム対の周囲に存在する沢山のクォークやグルーオンが、チャーム・反チャーム対やボトム・反ボトム対のカラー相互作用を遮蔽し、結果として、クォーコニウムの束縛を妨げる。このカラーデバイ遮蔽が起こる温度は、系の大きさや束縛エネルギーに依存するため、様々なクォーコニウムを同時に測定することで、ガリレオ温度計のように、QGPの温度を推定することができる。一方で、LHCのような衝突エネルギーが大きい場合、一回の衝突で沢山のチャームと反チャームが生成され、無相関なチャームと反チャームが再結合することでクォーコニウムの収量を増やす効果も指摘されている。今回の講演では、浅川さんの貢献とともにRHICやLHCにおけるクォーコニウムの測定とその解釈を整理し、今後の展望を議論したい。 |
資料: |
講師: | 小沢恭一郎 氏 (KEK) |
---|---|
題目: | 有限温度・有限密度下における低質量レプトン対測定のこれまでとこれから |
概要: | 有限温度・有限密度下のレプトン対の測定は、高エネルギー重イオン実験を用いたQCD相の探索の中で、強い相互作用の影響の小さい透過型のプローブとして各種の測定がなされてきた。特に、QCDの相転移に伴うカイラル対称性の回復現象を探索すを目指したベクター中間子の質量変化について、様々な測定が実施された。また、そのような粒子の質量分布の測定に加えて、連続的な質量分布や横運動量の分布から生成した系の温度などの熱力学的な性質を評価する研究も行われた。 本講演では、SPSから始まり、RHIC・LHCへと繋がる低質量レプトン対の測定結果を理論との関係も含め概観し、J-PARCやFAIRにおける有限密度方向の実験的研究も含め、今後の展開を議論する。 |
資料: |